トランペットでは世界最高峰のメーカーの一つ、シルキーのトランペットマウスピース「11」、シルバープレート（銀メッキ仕上げ）です。現在、定価 12100円で販売されています。ボディには「SCHILKE 11」という美しい書体の趣のある刻印が、しっかりと深めに入っています。メーカー発表の仕様は、リム内径16.53mmカップの深さ標準的ボア（スロート）サイズ#26（約 3.73mm）バックボアC（スタンダード）「標準的なマウスピースですべてに適している。」と解説されています。リム内径のサイズはV.バックの7Cくらいですが、性質はV.バックの7Cとはだいぶ異なります。リムはやや厚めでわずかにラウンド気味な形状で、リムからカップに少し落ちたところに絶妙なエッジが設けてあります。それによって唇にわずかにプレスした時にちょうど良く引っかかって、窮屈だったり唇が痛くなったりせずに、高音域の出しやすさや長いフレーズがキープしやすくなる素晴らしい形状です。連続した高音域や長時間の演奏でもバテにくく、またリップのコントロールがしやすく、音の跳躍を含む難しいフレーズも演奏しやすい素晴らしいデザインのリムです。またリムからカップにかけて少しえぐりが入っていて、カップの容量が少し増すことで豊かな音色に貢献しています。カップの深さは標準的で、ボウル型の形状からは輝かしい音色が醸し出されます。トランペットのマウスピースのボア（スロート）サイズは、V.バックなども含めて♯27（3.66mm）が標準的ですが、シルキーのマウスピースはそれよりも0.07mm広い♯26（3.73mm）というボアを標準で採用している点が興味深いです。たった0.07mmの違いですが、バックボア、マウスピースの全長なども含めて全体に非常にバランスが考えられたデザインになっています。シルキーのトランペットマウスピースの全長は、標準的なV.バックのマウスピースと比べると、1mm〜1.5mmくらい長くなっています。音色やイントネーション（音程）、吹奏時の抵抗感が最良になるよう、絶妙に計算された作りになっています。やや長めの全長と、バックボア部分も含めて巧みにバランスが取られていて、もちろん息を取られすぎるような感覚はなく、V.バックのマウスピースとは一味違う豊かな響きが魅力的です。シルキーのトランペットマウスピースは現在では通常モデルだけでも50種類以上がラインナップされていますが、初期の1960年頃には9種類のみだったようです。当時その9種類にはアルファベット一文字の型番が付けられていましたが、その内の「H」という型番が後に「11」に引き継がれています。「11」はシルキーの豊富なラインナップの中でも最も歴史の長い、伝統的なマウスピースの一つです。音色はふくよか、かつブリリアントな響きが遠くまで届く感じで、力を入れすぎなくても音量も得られます。薄っぺらい感じはなく、良い意味でやや骨太な魅力的なサウンドで、トランペットらしい輝かしさも持ち合わせています。レノルド・シルキー氏（1910年〜1982年）は、1930年代からシカゴ交響楽団のトランペット奏者を務めながら楽器とマウスピースのデザイン、製作も行い、1950年代には楽器メーカーとしてシルキー社を設立します。シカゴ交響楽団にはアドルフ・ハーセス氏、ヴィンセント・チコヴィッツ氏、ウィリアム・スカーレット氏らがほぼ同時期にトランペットセクションに在籍していて、ラファエル・クーベリック氏やフリッツ・ライナー氏らが指揮をしたその脅威的な伝説時代のシカゴ交響楽団の演奏は現在でもCDなどで聴くことができます。同じシカゴ交響楽団に少し前に在籍したエルデン・ベンジ氏や、ボストン交響楽団やメトロポリタン・オペラのトランペット奏者でもあったヴィンセント・バック氏も、同様に楽器製作と演奏活動の両方を行っていて、お互いに深い親交があったようです。アメリカと言うとおおらかでスケールが大きく、悪く言えば大雑把なことが多いイメージかもしれませんが、シルキーの楽器とマウスピースはその繊細で精密な作りで世界中から絶賛されてきました。現在でも高い品質がしっかりと引き継がれている点も他のメーカーとは一線を画す、素晴らしい楽器メーカーです。シルキーのマウスピースはクラシック以外でもビル・チェイス氏やジョン・ファディス氏といったスタープレイヤーも愛用してきて、またロサンゼルス・フィル元首席奏者のトーマス・スティーヴンス氏や、のちにマウスピース製作者として有名になるスコット・ラスキー氏、カール・ハモンド氏らも製作に携わってきた長い伝統があります。「11」は現在でも非常に人気のある型番で、長年シルキーのトランペットを購入すると付属してくる普遍性のあるマウスピースでもあります。サイズ的にも楽器初心者から上級者まで扱いやすく、クラシックからジャズ、ポピュラーミュージックまで演奏する音楽のジャンルを問いません。1960年代初頭にはすでにシルキーのマウスピースのラインナップの中にあった、半世紀以上の歴史がある完成度の高いマウスピースです。全体に良い状態を保っています。ところどころ小キズが見受けられますが、さほど気にならないと思います。もちろん演奏には支障ありません。全体の銀メッキの状態も非常に良好です。作りは全体にとても丁寧で、カップから、スロート、バックボア、シャンク先端にかけて、精緻で美しく仕上げられています。マウスピースの表面とカップ内からバックボア、シャンク先端まで、綺麗に洗浄して適度に磨いてありますので、汚れなどの心配のまったくない清潔な状態にしてあります。おてがる配送 ネコポスで、日本全国送料無料にてお送りします。ネコポスはヤマト運輸による匿名配送で、配送状況の追跡が可能です。基本的にはポストに投函されるようですが、ポストに入らない場合は配達員の方からの手渡しになるので安心です。上手く緩衝材を使いますので、厚み3cm以内での梱包でもまったく心配なくお送りできます。厳重に梱包の上、ご送付いたします。